こんにちは。
withコロナを生きる、心と身体の整え方
野上浩一郎です。
先日読了したした本
『父滅の刃』樺沢紫苑著
日本一情報発信をしている精神科医、樺沢紫苑さん。
その猛烈な情報発信の原点は
子供の頃から大好きな映画評論にあるそうです。
本書では父性の消滅と言う視点で
映画やアニメの人間心理を解説しています。
ちなみに父性とは
「切る」原理
・きびしさ
・規律
・鍛錬
対象的によく聞く母性とは
「包む」原理
・やさしさ
・受容
・保護
などを意味するそうです。
ここ10年ほどで「父性が消滅している」と
樺沢さんは言います。
そして、父性が消滅することで
どのような時代になっていくのか。
どのような人間関係になっていくのか。
どのような作品が売れるようになるのか。
これらを作品の中に実際に入り込んだような
深い深い人間観察で解説していきます。
樺沢さんの近年、売れ続けている
「誰にでも分かりやすい」著書とは異なり、
良い意味で読む人を選ぶ作品です。
道案内はしてくれますが最終的な
捉え方や答えは読者に委ねられます。
「映画(アニメ)とは」「人とは」「心とは」
ここまで深く言語化された書籍はありません。
そして、父親(母親にも)にコンプレックスがある人でも
樺沢さんが解説している作品を通して
自己客観視できるでしょう。
樺沢さんの著書は3ヶ月連続出版(!)
8月発売の『父滅の刃』の前後に
7月発売の『ストレスフリー超大全』は
「心」の整え方の教科書。
9月発売の『ブレインメンタル強化大全』は
「生活習慣」の教科書。
この3連続の作品の中でも異彩を放つ
「父滅の刃」を私は一番、早く読みたいと考えていました。
なぜなら私が
「父滅」しているから。
小学生の時に父を失っているのです。
父は事故死でした。
小学校5年生の時、兄は中3。
何の挨拶も、できずに突然の別れ。
大好きだった父を突然失い
当時思春期だった私は心に大きな傷を負い
長年、トラウマに苦しんでいました。
そして、振り返ると失われてしまった父性を埋めようと
さまざまな選択肢を選んできました。
そんな私の経験を振り返りながら
自己開示、自己分析をしてみようと思います。
特に印象に残っている2つのエピソードを書いてみます。
今でも鮮明に思い出す1つ目のエピソード。
父を失い数ヶ月後。
当時、団地に住んでいた私は
兄と学校に行くためにエレベーターへ。
後から乗り込んできた
異常にイライラした中年の男が
「なんやこのガキ!もっと奥行け!」と怒鳴ってきたのです。
※当時は関西在住
やさぐれていた兄は「うるせー」と反抗。
兄は胸ぐらを掴まれて怒鳴りつけられ
小さかった私はなす術もなく…
兄は「大人げないと思いませんか?」と一矢報い
周りにも人がいたので事なきを得ました。
しかし、エレベーターを降りた後
兄は悔し涙を流していたのです。
父が亡くなった時、父の葬儀でも
一度も涙を見せなかった兄がです。
きっと長男の責任感があったのだと思います。
P397
鬼滅の刃、炭治郎の言葉
「俺は長男だから我慢できたけど、次男だったら我慢できなかった」
中略
長男(家長)としてのプレッシャー、責任感。
それは家族を支える責任であり、自らの
「父性」を奮い立たせる言葉と言えます。
〜本著より引用〜
その後、数年が経ち兄弟二人に
どのような変化があったかと言うと
兄は高校から、私は大学から
格闘技とウェイトトレーニングにのめり込んでいくのです。
強さへの憧れ、
「また、あんな大人に絡まれたら倒せるようになる」
と言う気持ちがありました。
P.14
A君は、「男性の力強さ」、
すなわち「父親の力強さ」を求めていました。
彼の「トラック運転手になりたいという夢は、
「自分が力強くなりたい」という願望であるとともに、
「父親の愛がもっと欲しい」というサインでもあったのです。
〜本著より引用〜
兄弟で肉体的な強さを得ることで
家の中になくなった父性を埋めようとしていたのかもしれません。
私が空手の道場に入門した理由の
タテマエは「精神的に強くなりたい」
本音は「喧嘩に強くなりたい」でした。
ちなみに、その後どうなったかと言うと
同じようなサラリーマンを見つけては
オヤジ狩りを…とかそういう話は一切なく。
空手で自分の帯が、どんどん上がり
少しずつ自信がついてきた頃に分かった事は
「本当に強い人ほど、謙虚で優しい」
強さに対するトラウマは、そういう先生や先輩方への
憧れへと変わり、そう在りたいという
「美学」にすり変わっていったのでした。
そして、30歳を過ぎた頃に兄と二人で喋っていて
「実は、あれがきっかけで空手始めたんだよねー」と言ったところ
兄は「俺もそう」
兄と私は今でも身体を鍛え続けています。
そして、もう一つのエピソード。
私の父はニュースに出るような事故だったので
世の中の晒し者になりました。
ニュースや新聞では勝手に名前を出されるし。
学校では全校便りで
「5年3組の野上君のお父さんが亡くなりました」
みたいなデリカシーのないシェアがされるし。
私を守ろうとしてのことですが
母は小中高と担任が変わる度に
「息子はこういう事があって…」と話をしてしまうし。
当時の私は誰にも自分の心を知られたくない。
気が付いた頃には家族含めて、誰にも心を開けなくなっていました。
ちなみに心を開かないのではなく、開き方が分からない。
表情の出し方が分からない。
中3当時
心開いてない感が溢れていますね!笑
そして、自分の心に踏み込まれないように
かなり攻撃的な性格でした。
P185
エヴァンゲリオン、アスカのエピソード
心が弱いから、重大なトラウマを抱えているからこそ、
強固な心の壁を構築するかのように、強気に
振る舞う必要があったのです。
〜本著より引用〜
とにかく感情の起伏が激しく…
今でも会う友人から見た当時の私は
『野上君、ラリってたよね!』
実に上手く表現しています。
最近になってから
ずっとリア充で来たように見られるのですが…
友達がいない。
というか欲しくない。
人と何を話して良いか分からない。
そんな思春期を過ごしていました。
大学時代はクセの強い私でも
受け入れてくれる仲間達に恵まれて
楽しい時間を過ごすことが出来ました。
しかし、社会人になってからは
再び人間関係がうまくいかず…
とにかく人を信じられないので
世の中を「斜に構えて」見ているので
ストレスに感じることばかり。
周りからの言葉や感情を
全て直撃してしまう「超繊細さん」でした。
自分の心を守るために正論で攻撃する。
あえて相手が傷付く言葉を選択してしまう。
すぐに人間関係を壊してしまう。
とにかく20代は生きてて辛かったです。
案の定、20代後半まで職も職場も転々としていました。
そんな時に治療業界の師匠の存在を知ったのです。
業界では有名な方でブログを読んで見ると…
父性が強すぎる!
昭和の徒弟制度のような環境でしたが
「自分が変わるには、ここに行くしかない!」と思いエントリー!
師匠は自分に厳しく、それ以上に他人に厳しい方で
理不尽も多かったのですが
私はとても居心地が良かったです
父性の
・きびしさ
・規律
・鍛錬
が全てある職場でした。
人格否定がすごく多い職場でしたが
「周りの大人のことが、自分が大人になっても
信用出来なかった私」
そんな人格を否定されたかったのだと思います。
師匠や兄弟子、先輩たちのおかげで
次第に私の心の壁は崩れていきます。
しかし、クセの強過ぎる職場なので
卒業する頃にはうんざりしてきて
距離が離れて、とてもちょうど良く感じています。
そう考えると師匠には父性を埋めて頂き、
親離れまで経験をさせて頂いたのだと思います。
これからも感謝の気持ちは変わる事はありません。
「父滅の刃」を読んで感じたことは
人の心について考える圧巻の基準。
私のように過去の感情を
引き出す、きっかけに出来る1冊です。
そこまで重い読み方をしなくても
映画(アニメ)に深く入り込む没頭力。
小さな伏線や、細かな設定も樺沢さんは見逃さない!
世の中の見方が変わります。
私は父を失ったことで
人生だいぶ遠回りをしてしまいました。
しかし、人間関係で、どん底を見た経験、
師匠やお世話になった方々との様々な出会いがあり
・人とは
・心とは
・コミュニケーションとは
言語化しつづけた時期があり、今の私があります。
過去のトラウマを昇華させることが出来れば
大きな武器になると私は考えます。
これからも父滅の刃をテキストに心理分析を磨き
自分の人生と、大切な人たちの人生を豊かにしていきたいです
過去の感情を棚卸しする、きっかけをありがとうございました。
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